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  • 執筆者の写真wwineoclock

クシノマヴロの主要産地PDOナウサの魅力


皆さんが頭に描くギリシャの風景はきっと青い空に真っ白な建物、そして透き通る青い海が広がるイメージではないでしょうか?そして、ギリシャ神話の神々の彫刻や様々な遺跡たち。私が今まで思い描いていたギリシャもまさに海のイメージが強かった。

今回、訪れたナウサは今までのイメージを一掃する場所だった。


ナウサはギリシャ北部に位置し、ワイン造りの歴史は16世紀頃からと言われている。

トルコからの侵略や、フィロキセラの被害、2度の世界大戦等の様々な困難を乗り越えて

ブドウ畑が復興したのは1970以降になってからだ。

昔からこのナウサの主要産物であるワインの輸出により繁栄してきた。


自然豊かで緑にあふれたナウサの町は標高150~200mの山間の場所に位置する。町は山の中腹にあり、こじんまりとしているが人々が集う広場や見晴らしの良い公園がある綺麗な町だ。

町から少し離れたところには自然あふれる公園があり、地元の人たちで賑わっている。

山からの雪解け水がながれる川はヒンヤリとしていて暑さを一瞬忘れさせてくれる。






           見晴らしの良いレストランのテラス席。



         山の中腹にあるナウサの街をイメージしやすい景色



        郊外にある自然公園。雪解け水の川は氷水のように冷たい




ここナウサには現在22のワイナリーが存在する。そのほとんどが家族経営の小さなブティックワイナリー。


それぞれに個性を持ち、バラエティーに富んだワインを生産している。


暑く乾燥した土地では灌漑設備が必要で、ここナウサでもブドウ畑は綺麗に整備されており、灌漑設備も施されている所が多かった。

特に今年2023年はギリシャも連日猛暑でナウサでも例年の7月の平均気温32度を上回る39度に迫る天気が連日続いた。

5月から6月には雨も多く、多くの生産者は今年のブドウの生育状態は予想するのが難しいと話していた。


ナウサでPDOに認められるのはクシノマヴロ100%で作られる赤ワイン。

クシノマヴロから造られるワインは一言でいうとエレガント。

酸とタンニンがしっかりある分、長期熟成向きのブドウなので香りも華やかで複雑になる。

繊細かつしっかりとしたタンニンは樽で熟成させることにより、更にしなやかな

タンニンとなり心地よい余韻の中に広がる。

新樽よりも何度か使用した旧樽を使うことにより、クシノマヴロの華やかな香りを引き出し、繊細で複雑な香りと味わいを生み出す。


近年のワイン醸造のスタイルはモダンスタイルのワインを生産する所も多くなっている。

やはり、長期熟成タイプだけでは将来マーケットを広げる為には難しいということなのであろう。


若いうちからクシノマヴロで作られるワインを飲むためには酸味やタンニンの強さをコントロールする必要がある。

クシノマヴロのタンニンを和らげるためにメルローなどの国際品種をブレンドしたりする事もあるが、やはりPDOナウサを名乗るには100%クシノマヴロでなくてはいけない。


生産者は各々試行錯誤しながら、新しいスタイルのワインを模索しているように感じた。

クシノマヴロを栽培する畑の標高を低くし、酸が高くならないままブドウを成熟させ収穫したり、醸造においてもスキンコンタクトの時間を短くしたりと様々な取り組みをしている。



     山間の地形に広がるブドウ畑。緑豊かなナウサの景色。  


             きれいに整えられたブドウ畑


              こんな急斜面の畑もある



            まだ色づく前の7月のクシノマヴロ



今回、初めてナウサの土地を訪れて感じたことは、また訪れたいと思わせる魅力あふれる場所だということ。

豊かな自然と優しい人々、美味しい料理とワインのあるナウサは一言では語りつくせない程のすばらしい場所だ。

今回のワイン研修はギリシャのすばらしさを再確認すると共に、新たな魅力の発見があり、私のワイン人生にとって大きな経験となったことは確かだ。




次回はナウサの人々や文化についても話をしようと思う。






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  • 執筆者の写真wwineoclock


2023年7月

日本からカタール(ドーハ)経由、さらにキプロスで乗り継いでギリシャ北部の都市

テッサロニキに到着。

途中飛行機の外の景色はドーハの砂漠地帯から地中海のコバルトブルーの海の上空を抜ける。着陸態勢に入り高度がさがると、さらに美しい海が眼下に迫ってくる。

長時間フライトだが、久々のギリシャ訪問で気持ちが高揚しているせいか、疲れを感じず

ギリシャの地に降り立った。






ドーハからキプロスへ向かう飛行機から


砂漠が広がり、火星のような景色(笑)











いよいよ眼下には地中海が見えてきた。











最初に訪れたテッサロニキはギリシャ北部の港湾都市。

歴史のある町だが、市内の中心部は1917年に大火で焼失し、その後再建された為

街並みはモダンなヨーロッパ風の雰囲気。

市内の中心部にある市場は新鮮な野菜や肉、オリーブやチーズを並べる店が並んでいる。

ヨーロッパらしいドライハーブやスパイス、ナッツやドライフルーツなど眺めて歩いているだけでも、少しだけ地元民になったような気分を味わえる。

市民の生活を支える市場はに地元む人たちの生活の色や匂いを感じるにはとてもいい場所だ。今回訪れた時期はギリシャの人々がバカンスに出かける時期のようで、いつもの半分くらいの人口しかいないらしいが、初めて訪れた私にはとても活気があるように感じた。






マーケットの野菜売り場










フェタチーズはギリシャ国民の食生活にかかせないもの








7月は日没が9時頃なので、ディナーを食べた後もゆっくりと街の散策を楽しめる。

夜の街は海沿いの通りの街頭に沿って多くの人々が行きかっていた。

海沿いのバーでゆっくりワインを飲むのはとても贅沢な時間に思えた。


             テッサロニキ アリストテレオス広場





       海沿いの道は遅い時間でも多くの人たちが行きかっていた




            路地裏でもテラス席に多くの人たちが 



       暑いギリシャでは日没後に食事に出る人が多く、夜の11時頃でも

       多くの人たち食事や飲み物を楽しんでいる








さて、今回の訪問の目的はナウサのワイナリー訪問。

ナウサはギリシャ北部マケドニア地方中部にあるギリシャ屈指の赤ワインの銘醸地。

アテネに次ぐ第二の都市テッサロニキから車で1時間半程度の場所にある。


ギリシャは言わずと知れた古代からのワイン産地(まだ日本ではあまり知られていないが)

ギリシャ全土でワインが造られている。北部から南部のエーゲ海に浮かぶ島々まで各地で土着品種を中心としたブドウが多く栽培されているため、地域によって個性豊かなワインが生み出される。


























今回の北部地区を代表するはクシノマヴロという黒ブドウの主要栽培地域。

長期熟成に向くこのブドウは果皮が薄く酸味がありタンニンがしっかりある。


若いうちは酸とタンニンがしっかりある為、飲み頃を迎えるには数年の熟成期間を必要とする。近年は若のみタイプのワインも造られるようになってきているが、個人的にはクシノマヴロの特徴を最大限に楽しめるオールドスタイルの熟成タイプが好きだ。








クシノマヴロの赤ワインのイメージ















熟成したワインはオレンジを帯びたラズベリーレッドの色合いを持ち、非常に複雑な香りを持つ。ドライフルーツやドライトマト、ハーブや紅茶の様々な香りが楽しめる。ドライでとても滑らかでエレガントな口当たり。後半にしなやかながらもしっかりとしたタンニンが感じられ、豊かな気分を味わえる。

最近造られている若のみタイプのワインは酸味のある赤い果実の香りを持ち、心地よい酸味と果実の甘味の中にやさしいタンニンを感じるミディアムボディの仕上がりになっている。

スタイルの違うワインを造り出すことで、より幅広いニーズに応えられると感じる。

様々なシチュエーションでクシノマヴロを楽しむ機会が増えていくだろう。





次はクシノマヴロの主要産地のナウサの魅力をお届けします。

















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